パパ、お風呂
わいたわよ。

そうか、ちづる、
 いま、入る。

なんだ、おやじ、にやけやがって。

そうだ、そうだ、
暴力親父。

おい、なんか、
  言ったか。

いえ、なにも。

まったく、おやじは
  ちづるに甘いんだから。

ひろし、しろう、
おまえたちも恥ずかしがっていないで、
  ちづると仲良くしたら。

ナンセンス

東ちづる。
うちのいそうろう。北海道
からやって来た。
カメラマン志望の女だ。
うちの一家と
どういう関係になっているのか、
今いちよくわからない。

加納家の家族構成。
父親、加納典明。
江戸っこを気取っているが、一旗揚げようと田舎から出てきた。
田舎者特有のバイタリティがある。

母親、富じ純子
年よりもはるかに若い

そして、もうひとり、
加納家には女がいる。

加納家長女
  田中美佐子

あなた達、また、ちづる
  の噂をしているの。

誰が、あんな女。
興味あるわけないじゃん。

そう、じゃあ、こんな話をしても、
  聞く気はないわね。

みさ子、どんな話だよ。

慶子(斉藤)来て。

へへへへ、
わたし、見ちゃったのよ。

えっ、なに、見たの。
 教えて、教えて。

駅前の炉端焼き屋で一杯、ひっかけて
   出て来たら。

誰か、見たことのある後ろ姿だと
思ったら。

誰だったと思う。

ちづるだったのよ。

それから、
一緒にいた男はね。

駅前にある片岡不動産
のひとり息子。
片岡鶴太郎だったのよ

片岡鶴太郎って、宅麻しんの同級生のか。

駅前に片岡不動産はある。
片岡家はこのへんに古くから住む地主で
資産はどのくらいあるか、
わからないと言われている。鶴太郎はいつも、ど派手な服を着て、金屏風を集めるのが趣味である。鶴太郎は片岡家二十三代目の当主である。

なんだ、あんな成金趣味。

みんな、見て、見て。
ごきぶり、捕まえたわ

あら、三人とも
どうしたの。

芸能一家加納家
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